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熱海・伊東支部30周年記念大会講演要旨

【更新日:2016.02.25】

「ディズニーの本気のおもてなし~夢と魔法の王国をつくりあげる現実~
    講師高坂麻紀株チャックスファミリーマネジャー
    東京ディズニーランド1998年(TDL)15年周年アンバサダー

静岡県給食協会熱海伊東支部創立30周年記念大会の講演を、会長の平井がメモと記憶から講演抄録としてまとめました。記憶違いやメモの取り間違いがありますがご了承ください。それでも、少しでも高坂さんの思いを伝えることができれば幸いです。     (文責平井章)

最初の自己紹介では、ディズニーランドにはアルバイトとして採用され、最初は、カストーリア(掃除)で入り、お掃除をしているセクションでスーパーバイザーの仕事をし、その後は営業課の仕事に変わりオフィシャルホームページの仕事をしたそうです。
ディズニーランドで働いている職員は現在は2万人、毎日1万5千人が働いています。東京ディズニーランドの入場者の9割はリピーターの人で、その人たちは、また「来たい」ということです。ディズニーは「永遠に完成しないテーマパーク」と言われ、行くたびに何か新しい発見があるようです。どうしてそのようなテーマパークになったでしょうか。
◆その秘訣は、キャストと呼ばれる職員で、2万人のキャストに徹底する次の3つのポイントは
1.お客様に応対する扱い、待遇のことです。
2.裏のない「心」。お客様をお迎えするということです。
3.目に見える「モノ」と、目に見えない「コト」がある。
特に「コト」に力を入れているそうです。「コト」というのは、例えば、そこで過ごして楽しいコト、ディズニーのスマイルなど、具体的にイメージされる「コト」のようです。
 2万人のキャストと言われている職員は、素晴らしい職員だと高い評価を受けていますが、どんな人でも仕事に対していると、みんなディズニーが好きでこの仕事についていますが、好きなだけでは続きません。いつも同じように仕事をし続けられる仕組を作らないと、いつかはマンネリ化してしまいます。そこで大切なのは、「妥協しない管理職の姿勢」と「妥協しない仕組」がヒントになるようです。その結果は、創立30周年の2013年の入場者数が3000万人を超えたということにつながります。

ディズニーランドのお客様からのアンケートは、
第1位:ライブエンターテイメント
第2位:親切なキャスト、清潔なパーク
第4位:アトラクション
とありました。ディズニーランドに来て楽しむアトラクションではなく、「親切なキャスト、清潔なパーク」が第2位になっています。
それを裏づける話が次のメッセージでした。
どこでも企業理念がありますが、わかりやすいことが大切です。
「目指すはゴール『全てのゲストにハピネスを提供する』」
というのがディズニーの理念です。

それを実現させるために3つの基準があります。
1.品質基準:きれいの基準、毎日が初演、赤ちゃんがハイハイしても大丈夫
2.おもてなし基準:全てのゲストがVIP、フレンドリーサービス、手から手へ
「手から手へ」ということで、こんなエピソードを話されました。「お客様からパーク内案内図を求められたとき、普通ならば、それが置いてある場所を指さして「あそこに行けばあります」と教えますが、ここでは、キャスト自身が、自分で取りに行ってそのお客様に「手から手へ」とお渡しします。その時、一緒にいるご家族のことを見て、案内図の中の行く場所などのアドバイスを考えて、アドバイスしたところに目印をつけてあげて、そのお客様のオリジナルの案内図を作成したりする、そこにお客様とのコミュニケーションが生まる」ということです。
コミュニケーション手法の一つに婉曲話法というのがあるそうです。
※婉曲法(えんきょくほう)とは一般に、否定的な含意を持つ語句を直接用いず、他の語句で置き換える語法である。具体的には聞き手が感じる不快感や困惑を少なくする目的で、あるいは話し手がそのような不都合やタブーへの抵触を避ける目的で用いられる(引用:ウィキペディア)。否定的な言葉を使わないで、遠回しな言葉を使うということです。
3.行動基準:SCSE
SCSEとは
Safty:安全性
Courtesy:礼儀正しさ、相手の立場に立つ
Show:美感、身だしなみ(幅広い人から好感を持たれる)
ディズニーでは採用する前の面接の段階から身だしなみのことを話すそうです。髪の毛の染め色についても番号以下にと伝えられていて、出勤時にチェックする。会場に出るときに姿見の鏡で自分で直すことをする。
Efficonsy:効率、チームワーク
そのチームは、目標をクリアするたびにより強いチームになっていく(成長し続けるチーム)。チームの「強み」とは、イレギュラーが起きたときに気づいたのメンバーが支援することで、チームn「弱み」は、イレギュラーに気づいても「人任せ現象」が発生すること。スーパーバイザーとは、SCSE基準に照らしてPCDAによって現場をモニタリングすることで、これをスーパービジョンという。そして、3ヶ月に1回程度個人面接をします。そうしながら、一人ひとりのことを信頼していくとのことです。これは、S→C→S→Eの順番でしていくことが効果があるとのことです。

上に立つ人が、キャストの「個の力」を引き出すポイント
1.やる気にさせる。認めてあげる。ほめる。
2.現場に立つ。見る聴く。
3.率先して仕事をする。
4.一人ひとりを尊重する
5.公平感、平等感ももって対応すること
 平井の個人的な話ですが、2015年4月から、計画的に法人内の施設、事業所に顔を出して、利用者や職員と話をするようにしています。トウモロコシ、梨、みかん、柿など、浜松の特産品を路上販売で買ってお土産にします。お土産つきはほかの時より歓迎してくれます。理事長との距離が近くなると思っています。

◆「任せて見る」ことの大切さ→全て、サービスリカバリーツール
 ここで大切なのは任せるではなく、「任せて」そして「見る」なのです。ディズニーには職員が笑顔をもっておもてなしができるのには、分厚い立派なマニュアルがあると思っているようですが、ディズニーには手順のマニュアルは6割から7割で、マニュアルにはない3割から4割は、毎日の仕事を刺激的にさせていることから生まれてくるとのことです。SCSE式で任せて見る。

◆ディズニーにおけるサービス
  納得できるサービスとは、期待値に近いサービスを受けたとき
満足できるサービスとは、期待値どおりのサービスを受けたとき
感動のサービスとは、期待値を超えたサービス
ディズニーのサービスは期待値を超えた「感動のサービス」を提供するようにしているということです。感動のサービスとは、マニュアルには含まれないサービスで、いい「おもてなし」を受けたとき感じます。そのことからリピーターが生まれています。いろいろなエピソードのはなしがありました。
大切なのは、これらの手法にとらわれ過ぎて自分らしさを失わないようにすることと話されました。
ディズニーでも「おもてなしのサービス」が提供できたのは開業から10年くらいたった時からだったと話されました。

最後に、
ウォルト・ディズニーのことば が紹介されました。
その夢を完成するのは「人」である。どんなに素晴らしいテーマパークで、どんなに素晴らしいアトラクションがあっても、そこに働くキャスト・人が頑張らないと夢は完成しないと言い残しています。
It take peaple」=インプットをはるかの超えたアウトプットを発揮しよう。

講師紹介
1994年の在学中、㈱オリエンタルランドにアルバイトとして入社。アトラクションアンバサダーで2年勤務したのち、正社員として憧れのカストーディアル部(清掃)に配属になる。1998年東京ディズニーランドアンバサダーとして、全国各地にミッキーやミニーと訪問、表敬訪問、施設訪問、各種イベント等様々な行事に参加。以降、再びカストーディアル部へ戻り、スーパーバイザーとして現場の指揮を執る。
2008年から、それまでの経験を活かし㈱チャックファミリーにて、政争のコンサルティングとして、清掃会社だけでなく、大型商業施設、百貨店、病院などの清掃と接客に関するコンサルティングを行っている。

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